肯定的な言葉を使う③

『あの時計が3時になったら食べていいよ』と言われたグループは

3時になるまでケーキの事なんか忘れて大はしゃぎで部屋の中で

遊びまわっていました。

一方、『あの時計が3時なるまで食べちゃだめだよ』と言われた

グループは、大人が部屋を出て行ったあとも、みんなテーブルを囲んで

動きません。

みんなだまってジーッとケーキを見つめています。

そして、10分もたたないうちに一人が、指でクリームをペロッ!

すると、みんな一斉に堰を切ったように食べ始めました。

同じ意味のことを言っているのに、ちょっとした言い方の違いだけで

なぜ、こうも結果が大きく違ってくるのか?

そのわけは、

『あの時計が3時なるまで食べちゃだめだよ』

『あの時計が3時になったら食べていいよ』

一見、同じに見えるこの二つの言葉、

人間の脳にとっては全く逆の事を言っていることになるのです。

人間の脳に次のような特性があります。

・イメージしたことを実現しようとする

・否定形を理解できない

そう、人間の脳は否定形を理解できないのです。

『あの時計が3時なるまで食べちゃだめだよ』は、脳にとっては

『あの時計が3時なるまでに食べて』となるのです。

なぜなら、『あの時計が3時なるまで食べちゃだめだよ』と言われた時、

禁止されたものが何かという事を脳は理解しイメージしようとします。

つまり、禁止された、3時になる前に食べている姿を一回イメージしないといけません。

そして、そのイメージした姿を本能的に実行しようとします。

どんなに理性で頑張っても最後は負けてしまうのです。

失敗や欠点に焦点をあて過ぎた時にもこれと同じ事がおきます。

自分の脳の仕組みを理解していないと、ついつい

『なんで自分は失敗ばかりするんだろう』

『なんでいつも同じ間違いをしてしまうんだろう』

と言った質問を無意識に自分に投げかけてしまいます。

すると、人間の脳には、優秀な検索機能が備わっていますから、自動的に

その答えを探し出そうとしたり、過去の失敗を探してきたりします。

そして、『自分が無能だから』、『自分がダメだから』といった

答えを導きだしたりしてしまいます。

その結果、低いセルフイメージが出来上がってしまったりします。

また、『こんどは同じ失敗をしないようにしよう』と否定形で思うことで、

同じ失敗を繰り返す姿をイメージし、先ほどの子供と同じように、

自分が望んでいない方向に行ってしまいます。

これは、すべてに共通することです。

では、どうしたらいいのか? …つづく

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